法人向けの動画を公開しているけれど、再生数だけでは役立っているか判断できない。そんな悩みはありませんか。
多く見られる動画と、問い合わせにつながる動画は、同じとは限りません。
「見られたか」と「仕事につながる行動があったか」を分けると、改善する場所を考えやすくなります。国内外3事例を参考に、毎月確認したい数字を整理します。
法人向け動画の数字は、4つの段階に分けて見る

BtoBとは、企業が企業へ商品やサービスを提供する仕事のことです。動画の成果も、お客様との出会いから受注まで、段階を分けて見てみましょう。
- 接点:どこに表示され、どこから視聴者が来たか
- 視聴:何回、どのくらいの時間見られたか
- 行動:サイト訪問、資料請求、相談があったか
- 営業:商談、提案、受注につながったか
お店でも、看板を見た人数、入店した人数、相談した人数、購入した人数は別です。動画も再生回数だけで、仕事につながったかは判断できません。
この4段階はこの記事の整理方法です。すべてを一人のお客様の行動として、途切れなく追跡できるわけではありません。
YouTubeのクリック率は、すべての再生を割った数字ではない
インプレッションCTRは、計測対象となる表紙画像の表示から、動画が見られた割合です。外部サイトなどの表示・再生には条件があり、すべての再生回数を表示回数で割った値ではありません。
参考:YouTubeの表示回数とクリック率の説明
参考:YouTubeの表示から視聴時間までの公式案内
動画の目的に合う、一番大切な数字を決める

初めて知ってもらう動画と、商談前に説明する動画は、担う役割が違います。すべてを「問い合わせ数」で評価すると、知ってもらう仕事や説明の仕事を見落とす可能性があります。
- 新しく知ってもらう動画:表示や、対象のお客様からの再生を確認する
- サービス比較の動画:資料請求や相談へのつながりを見る
- 商談前の説明動画:営業で使われたか、お客様の理解に役立ったかを確認する
登録者数も参考にはなります。ただし、登録した人が自社のお客様に当たるか、相談などにつながったかは別に確認します。動画ごとに、一番確認したい数字を決めましょう。
国内外3事例で、何の数字が増えたのかを確認する
次の数字は、顧客や提供会社が公表した内容です。媒体や測定条件が違うので、そのまま自社の目標値には置き換えられません。
ナイル:資料請求など、視聴後の行動を測る
日本のWebマーケティング支援企業、ナイル株式会社は、検索する人の疑問に合わせた企画と、資料への案内を組み合わせています。訪問経路を識別できるURLを使い、既存のブログやメルマガとも連携しています。
登録者2,500人規模の段階から月50件以上の資料ダウンロードがあり、資料ダウンロードとメルマガ登録は半年で6倍になったと公表されています。担当者は、再生数が少なくても相談につながる動画があると説明しています。
月50件は問い合わせではなく、資料ダウンロードです。比較の元の件数や年月は不明で、既存メルマガなどの蓄積もあります。ゼロから始める会社と同じ条件ではありません。
AlayaCare:動画を見る場所とフォームをつなげる
在宅医療向けクラウドソフトウェアのAlayaCareは、米国・カナダ・オーストラリアの市場へサービスを提供しています。分散していた動画をWistia Channelsへ集約し、HubSpotのフォームと連携しました。
提供会社は、移行後に動画視聴回数900%増と報告しています。2021年8月公表の事例ですが、比較期間、元の回数、見込み客の増加数は不明です。YouTubeの視聴が900%増えた事例ではありません。
再生だけでなく、動画を見た後のフォームでの行動もつなげて考える参考になります。
Athena Software:視聴内容を、次の営業案内に使う
福祉・医療関連組織向けソフトウェアのAthena Softwareは、米国・カナダなど複数市場で展開しています。WistiaとHubSpotを連携し、動画の視聴状況を営業でのフォローに活用しました。対象法人の所在地は今回の資料では未確認です。
2016年7月公表の取材で、担当者は、あるメール施策のクリック率12.5%、通常は1.5〜3.5%と説明しています。配信人数、測定期間、同条件の比較実験は不明です。
これはメールのクリック率で、YouTubeの表紙画像のクリック率ではありません。見た内容に合わせて、次に必要な情報を考える参考です。古い事例の操作方法や料金を、現在の仕様として使わないようにしましょう。
参考:ナイルの資料ダウンロードと動画活用の事例
参考:WistiaのAlayaCare顧客事例
参考:WistiaのAthena Software顧客インタビュー
毎月の報告は、数字の一覧より次の改善につなげる

報告書は、数字を並べるだけで終わらせないようにしましょう。次の項目をまとめると、話し合う材料になります。
- 確認した期間と、動画の目的
- 一番大切な数字と前回からの変更
- 数字から読み取れること
- まだ断定できないこと
- 次に試す改善
再生が増えても相談が増えないなら、対象のお客様、動画内の案内、リンク先、問い合わせ対応を順に確認します。平均視聴時間が下がっても、動画の長さや来た場所が変わったなら、内容が悪くなったとは限りません。
数字の変化と、変わった条件を一緒に見ます。
数字だけを見て、すぐに動画全体を作り直す判断をしないようにしましょう。
リンクで測れた成果と、後から関わった成果を分ける

動画のリンクから相談した人は、比較的追いやすい経路です。一方、動画を見た後に社名を検索したり、営業紹介を受けたりする経路は、リンクの計測だけではわかりません。
営業時に「動画を見ましたか」と聞く方法にも、記憶違いなどの限界があります。測れない部分を、推測で数字へ置き換えないようにしましょう。
- 直接計測:リンクなどで確認できた行動
- お客様の申告:本人が話してくれた内容
- 営業担当者の観察:商談で感じた理解や反応
この3つを区別して記録します。個人の行動を追跡する仕組みを導入する場合は、プライバシー、同意、利用目的も確認してください。
まずは、公開済み動画を目的別に分ける
公開した動画を、知ってもらう、比較を助ける、商談前に説明する、といった目的で分けてみてください。それぞれ一つの主要な数字を決めます。
毎月の会議では、数字が大きいか小さいかだけでなく、次に直す場所を一つ決めましょう。業種共通の理想値を置くより、自社の目的と確認できる範囲から考えます。
