最近は、何かを調べるときにGoogleで検索するだけでなく、ChatGPTやGeminiなどのAIに質問する人が増えてきました。
「京都でおすすめのカフェは?」「近くで評判のいいお店は?」と、AIに直接聞いてお店を探す人も出てきています。
こうしたAI検索の時代に、個人事業主や中小企業、小さなお店にとって大切になってくるのが「LLMO」です。
難しい言葉に見えますが、簡単に言えば、AIに自分のお店やサービスを知ってもらい、お客さまに紹介してもらいやすくする取り組みのことです。
例えば、京都をよく知るベテランのタクシー運転手さんを想像してください。
観光客から「この辺で、本当におすすめのお店はありますか?」と聞かれたとき、あなたのお店を思い出して紹介してもらえれば、新しいお客さまにつながります。
AI検索も考え方はよく似ています。
この記事では、AIからお店やサービスをおすすめしてもらうまでの流れを、京都を案内する「ベテランのタクシー運転手さん」に例えながら、5つのステップで分かりやすく解説します。
そもそも「AIに選ばれる」とはどういうことか?

これまでのインターネット集客では、Googleなどで検索したときに、自社のホームページをできるだけ上の方に表示させることが大きな目標でした。
いわゆる「SEO」と呼ばれるもので、実店舗に例えるなら、人通りの多い大通りにお店の看板を出すようなものです。
ところが、AI検索では少し状況が変わります。
例えば、お客さまがAIに「京都の烏丸御池周辺で、おしゃれな町家カフェを教えて」と質問したとします。
このとき重要なのは、検索結果のどこかにあなたのお店のホームページが載ることだけではありません。
AIの回答の中で、あなたのお店そのものを「おすすめ」として紹介してもらえるかどうかが大切になります。
「情報源として使われる」と「おすすめされる」は違います
AIの回答の最後や隅に、小さくホームページのリンクが表示されることがあります。
これは、あなたのホームページが「情報源」として使われた状態です。
一方で、AIが回答の本文で「〇〇カフェがおすすめです」と店名を出して紹介してくれれば、お客さまの目に直接入ります。
これは、タクシー運転手さんがガイドブックを指差すだけではなく、「それなら、あのお店がいいですよ」と店名を教えてくれる状態です。
お客さまからすれば、後者のほうが分かりやすく、次の行動にもつながりやすくなります。
そのため、これからのAI検索対策では、単にホームページを見つけてもらうだけでなく、AIから名前を挙げておすすめしてもらうことを目指していく必要があります。
AIにおすすめされるための「5つの階段」
AIに自分のお店を強くおすすめしてもらえるようになるまでには、いくつかの段階があります。
これは、「京都を訪れた観光客が、ベテランのタクシー運転手さんにおすすめの場所を聞く場面」に置き換えると分かりやすくなります。
第1階段:情報源として「引用」される
まずは、AIから「このお店のホームページには、役に立つ情報がある」と認識してもらう段階です。
タクシー運転手さんで例えるなら、お客さんから「京都の伝統工芸について知りたい」と聞かれたときに、「このガイドブックに詳しく載っていますよ」と、あなたのホームページを参考資料として使ってもらう状態です。
そのためには、他のホームページに書いてあることをそのまま並べるだけではなく、自分だからこそ話せる情報をホームページやブログに残していくことが大切です。
例えば、同じ飲食店でも、実際に毎日お客さまと接している店主だからこそ分かることがあります。
商品の選び方、仕入れへのこだわり、おすすめの食べ方、よく聞かれる質問などです。
普段お客さまに説明していること自体が、価値のある情報になります。
こうした情報を自分の言葉で発信していくことが、最初の一歩です。
第2階段:お店や会社の名前が出てくる
次は、AIがあなたのお店や会社の名前を覚え、回答の中で名前を出してくれる段階です。
タクシー運転手さんに「この辺で、おすすめの町家ホテルはありますか?」と聞いたときに、「そういえば『〇〇庵』という宿がありますよ」と名前を出してくれる状態です。
ただし、名前が出れば何でもよいわけではありません。
「〇〇庵という宿はありますが、壁が薄くてうるさいという評判があります」と紹介されてしまえば、逆にお客さまを遠ざけてしまいます。
そのため、自社の名前がAIの回答に出ている場合は、名前が出ているかだけではなく、どのような内容で紹介されているかまで確認することが重要です。
第3階段:サービス内容を「正しく」説明してもらう

名前を覚えてもらった次は、AIに自社の商品やサービスを正しく説明してもらう段階です。
例えばタクシー運転手さんが、「〇〇庵は一棟貸しの町家宿です。朝食には近くの老舗のお豆腐が出て、1泊3万円から泊まれますよ」と、特徴や料金まで正確に案内してくれる状態です。
ここで困るのが、インターネット上に残っている古い情報です。
公式ホームページでは新しい料金に変えていても、5年前に紹介されたブログや過去のまとめサイトには、古い料金や現在は提供していないサービスが残っていることがあります。
そうした古い情報をもとにAIが説明すると、お客さまから「AIではこの料金だと書いてあったのに、実際は違う」と思われる可能性があります。
これは実店舗でいえば、昔のメニュー表が街中に配られたままになっているようなものです。
ネット上に残っている古い自社情報も、定期的に確認することが大切です。
過去に掲載された紹介サイトやブログなどを確認し、間違った情報や古い情報が残っている場合は、必要に応じて運営者へ修正を依頼していきます。
第4階段:ライバルと並んで「比較候補」に入る

次の段階では、お客さまがいくつかのお店を比較するときに、自分のお店も候補のひとつとして紹介されることを目指します。
例えば「京都でおいしいお蕎麦が食べたい」とタクシー運転手さんに聞いたとします。
そこで、「庭園を見ながら静かに食べるならA店、錦市場の近くで気軽に食べるならB店、手打ちの十割蕎麦にこだわるならC店」と紹介されたとします。
このC店のように、自分のお店ならではの特徴を理由に候補へ入ることが重要です。
そのためには、「何でもできます」と伝えるよりも、「誰に、どんな価値を提供できるのか」を分かりやすく伝える必要があります。
例えば、単に「京都のお蕎麦屋さん」と紹介するよりも、「完全予約制で、築100年の町家から鴨川を眺めながら蕎麦を楽しめる店」と伝えたほうが、お店の特徴が頭に浮かびます。
AIに選んでもらうためにも、「誰にでもおすすめ」ではなく「こんな人には特におすすめ」と言える強みが重要になります。
第5階段:「それなら、ここが一番」とおすすめされる
最後が、AIからピンポイントで強くおすすめしてもらえる段階です。
例えば、お客さまがタクシー運転手さんに「家族3人で、静かな場所で京都らしい景色を眺めながら、本当においしい蕎麦を食べたい」と相談したとします。
そこで運転手さんが、「それならC店が一番合っています。今からお連れしましょう」と太鼓判を押してくれれば、お客さまはかなり高い確率でそのお店を選ぶでしょう。
AI検索でも目指したいのは、この状態です。
特定のお客さまの条件に対して、ライバルと横並びではなく、あなたのお店が強く推薦される状態です。
そのための方法のひとつとして、自社とは少し違う分野のメディアから紹介してもらうという考え方があります。
例えば、お蕎麦屋さんや宿泊施設だからといって、飲食サイトや旅行サイトだけに掲載される必要はありません。
- 子育て世代向けの情報サイト
- 伝統工芸について紹介するブログ
- 京都への移住を紹介する情報サイト
このような、自分のお客さまになりそうな人が見ている別ジャンルのメディアで紹介されたり、一緒に記事を作ったりする方法もあります。
いろいろな場所で「この店は、こういう人に合っている」と紹介されることで、あなたのお店ならではの立ち位置が、より分かりやすくなっていきます。
京都のスモールビジネスが今すぐ始めるべきこと
AIから自分のお店や会社をおすすめしてもらえる状態は、一日で作れるものではありません。
少しずつ情報を発信し、ネット上にある自社情報を整えていく必要があります。
元の考え方では、こうした取り組みには数か月単位の時間がかかるとされています。
だからこそ、周りのライバルがまだ本格的に取り組んでいないうちから始めることに意味があります。
とはいえ、「AI対策と言われても、何をすればいいのか分からない」という方も多いと思います。
最初から難しいことをする必要はありません。
まずは次の2つから始めてみてください。
1.まずは自分のお店をAIで検索してみる
ChatGPTやGeminiを開き、お客さまになったつもりで質問してみます。
- 「京都の〇〇エリアで、〇〇を頼むならどこがおすすめですか?」
- 「なぜそのお店がおすすめなのですか?」
例えば美容室なら、「京都の四条烏丸で、大人女性におすすめの美容室は?」と聞くイメージです。
工務店なら、「京都で古い町家のリフォームを相談するなら、どこがおすすめですか?」と聞いてみてもよいでしょう。
そこで、自分のお店や会社の名前が出てくるのか。
ライバルはどこが紹介されているのか。どんな理由でおすすめされているのか。
まず現在地を知ることが、AI検索対策のスタートです。
2.ネット上に残っている「古い自社情報」を確認する
次に、自分のお店や会社について、ネット上に古い情報が残っていないか確認してみます。
例えば、昔の料金、以前の営業時間、終了したサービス、古い住所などです。
実店舗でいえば、5年前のチラシが街中に残り続けているような状態です。
AIの回答に古い情報が出てきた場合は、その情報がどこから来ているのか確認してみましょう。
古い情報が掲載されているサイトが分かれば、必要に応じて運営者へ連絡し、最新情報への修正をお願いしていきます。
ホームページを新しく作り直したり、難しい仕組みを導入したりする前に、まずは「今ネット上で、自分のお店がどのように紹介されているのか」を確認することが大切です。
京都の小さなビジネスには、大企業にはない魅力があります。
長く積み重ねてきた歴史、商品へのこだわり、お客さまとの距離の近さ、温かい接客などです。
そうした「ほんまもん」の魅力を、自分たちの言葉でインターネット上に残していく。
それが、AIを通じて未来のお客さまに見つけてもらうための第一歩になります。
